knot -結び目-

こころやからだ(コンディション)を整えることについて向き合ってから10年目をきっかけにブログをはじめました。“腑に落ちること”について日々模索中です。

「わからない」という口癖の怖さ。

 

 

最近、テレビから岡潔[おか・きよし]の名前が聞こえてきたので

ふと、この本のことを思い出しました。

(ドラマか何かがやっていたみたいですね!)

 

 情緒を問題にするにあたって、厄介なのは「自分」ということであろう。日本はいま、子供や青年たちに「自分」ということを早く教えようとしすぎている。こんなものはなるべくあとで気がつけばよいことで、幼少期は自我の抑止こそが一番に大切なのである。
 自分がでしゃばってくると、本当にわかるということと、わからないということがごちゃごちゃになってくる。そして、自分に不利なことや未知なことをすぐに「わからない」と言って切って捨ててしまうことになる。これは自己保身のためなのだが、本人はそうとは気づかない。こういう少年少女をつくったら、この国はおしまいだ。
 仏教では、この「わからない」という知覚の一レベルのことを「無明」(むみょう)というけれど、この無明を連発するようになるようなら、その人もその人が所属する社会も、混乱するか、自分主義の社会になる。たんに「わからない」と言わないで、「無明」に謙虚にむきあって「無明の明」を知るべきだ。———(岡潔『春宵十話』より)

 

“自分に不利なことや未知なことをすぐに

「わからない」と言って切って捨ててしまうことになる”。

 

もうずっと前に、

わたしが病院を転々としていた頃のことですが、

一度、お医者さんに怒られたことがありました。

問診のときに、質問対して「わからない」と言ったとき。

 

 

『わからないだけじゃ、こっちも何もわからないじゃないか!!!』

 

 

5件目の病院だったかなあ、、、もう、泣きました(笑)。

だって、ほんとにわからないんですよ、、、

それに、あの頃はむしろ開き直っていました。

そういうことも含めて読み取るのがお医者さんの仕事じゃないの?と。

原因はほかにもありますが、

病院不信になるわたしへの一歩でもありました。うん、むしろ二十歩くらい(笑)。

 

『春宵十話』の本に出会ったのは、昨年。

病院に行くことを辞めて、身体についてたくさん勉強しながら整体に通うことで

症状は出なくなりましたが、病院への不信感はまだ心の根っこに残っていました。

でも、この本を読んで、一瞬にして不信感が感謝に変わりました。

これがあったからこそ、じぶんで治してやるっ!と、

“たんに「わからない」と言わないで、「無明」に

謙虚にむきあって「無明の明」”へと向かったんだなあと。

 

 

昔、舞台衣装のお仕事をしていたときに関わった

戦場ジャーナリストさんの言葉ともリンクしました。

 

“「無関心が貧困を生み育て、無関心が戦争を長引かせるんだよ」”

 

はっとしました。そうか、真の敵は無関心であることだな、、、と。
わたしが身体に向き合ったように、
“関心を持つ”ということがほんとうの大切なことなのかもしれません。

 

「わからない」と置き去りにして、無関心にならないで
関心を持つことで、無明を追いかけることで、明けていくのかもしれないなと。

そんなことに気づかされた本でした。

 

 

戦場ジャーナリストさんに出会ったのも、そう言えば、春でした。

『春宵十話』、ぐさっと刺さる本だったなあ、、、(笑)。

 でも、病気は、自分が治すものなので、

そのことに気づかせてくれたお医者さんに感謝です。

 

 

 


春宵十話 (角川ソフィア文庫)

 

 

 

[eyes] | Japan Creation
アートディレクター、スタイリスト。

クリエイティブユニットprototypeに所属。
あなたの中に眠っている、
ことばにならない「何か」から
あなたの"らしさ"を紡ぎだします。
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デザインや身体論の視点から、
企業の中で人を育てる仕事もしています。

わたし自身、じぶんの病気(からだ)と
向き合ってから10年が経ちました。
いまではすっかり元気もりもりですが(笑)
その経験から、不調を抱えた方に
相談されることが多くなってきたので
この機会にブログをはじめてみました。
(http://mamefis.hatenablog.com/)

からだはひとりひとり違うので
みんなに当てはまるかはわかりませんが
こころからもからだからも、
腑に落ちることがあると嬉しいです。

mame
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